皮膚科このページを印刷する - 皮膚科

研修医の修練方針

全身の皮膚を系統立てて診察する能力を身につけ、特に日常よく遭遇する皮膚疾患を経験しながら、その病態を系統的に理解し、診断、検査法、治療法を身につける。

午前中は外来にて指導医の監督のもとに患者の診療に参加する。皮膚病変の所見の取り方、記載、必要な検査(血液検査、画像、真菌検査、パッチテストなど)を施行し、皮膚病を診断する。

皮膚病の治療に関しては皮膚科外用剤特にステロイド外用剤の種類、薬理作用、副作用を理解した上での軟膏処置、凍結療法、電気焼灼の実践と手技を習得する。

午後は病棟入院患者を指導医の下で担当医として入院患者を受け持ち、診療に参加する。また、皮膚生検や腫瘍の切除、摘出、単純縫縮、切開の手技を習得する。

プログラム概要

一般目標(GIO)

学生時代の教科書をもとに、臨床医として最低限必要な皮膚科学の知識を身につけ、皮膚を通して疾患を全身的に理解する。

行動目標(SBO)

全身の皮膚を系統立てて診察する能力を身につけ、特に日常よく遭遇する皮膚疾患を経験しながら、その病態を系統的に理解し、診断、検査法、治療法を身につける。

回診・カンファレンス

病棟回診:月曜日午後2時から。但し、毎月第2月曜は2時から褥瘡回診を行い、終了後、病棟回診を行う。
病理組織カンファレンス、抄読会:火曜日午後6時から。すべての皮膚病理組織について病理所見、臨床経過との関連、今後の治療方針について検討し、また最新の臨床・研究の知見、論文を供覧する。

学会および認定教育施設

日本皮膚科学会(皮膚科専門医研修指定病院)
当科では日本皮膚科学会をはじめ日本臨床皮膚科医会、日本皮膚悪性腫瘍学会、日本研究皮膚科学会、日本香粧品学会、日本癌学会、米国研究皮膚科学会などの諸学会の活動に積極的に参加し、研究成果を発表している。また、地域医療につきましては日本皮膚科学会西部支部、九州臨床皮膚科医会にも参加している。

研修内容

指導医の下で担当医として入院患者を受け持ち、また外来では指導医の監督のもとに患者の診療に参加する。

1.皮膚の構造と皮膚科診断学

  1. 皮膚の構造と機能、皮膚疾患との関連
  2. 皮膚病変の所見の取り方、記載(POSシステムに準じた記載)
  3. 薬物アレルギー患者の病歴聴取と、原因薬剤の推測
  4. 皮膚病理組織の変化と所見の記載法
 

2.皮膚病の治療学

  1. 皮膚科外用剤(特にステロイド外用剤)の種類と薬理作用、副作用の理解
  2. 軟膏処置の実践
  3. 皮膚科内服薬・注射薬の種類と薬理作用、副作用の理解
  4. 凍結療法、電気焼灼の実践と手技
  5. 光線療法(PUVA療法、UVB療法、赤外線療法)の実践と手技
  6. 局所免疫療法などのの実践と手技
  7. スキンケアの理解とスキンケア商品の正しい選択
  8. 褥瘡処置(軟膏・ドレッシング剤・デブリードマン)、除圧を含めた管理、手術適応の理解
 

3.皮膚科検査の理解と実践

  1. スクラッチテスト、プリックテスト、皮内反応、パッチテスト
  2. 表在性真菌症の苛性カリ標本作製と鏡検、真菌培養
  3. 深在性真菌症、非定型抗酸菌症の組織培養、病理検査
  4. 皮膚生検の適応、手技
  5. 内服誘発試験
  6. 光線テスト、光パッチテスト
  7. 血液検査:湿疹皮膚炎、感染症、膠原病、その他


4.皮膚外科手術の診療と手技

  1. 皮膚悪性腫瘍の臨床像、組織像の理解と診断までの流れの理解
  2. 患者と家族への接し方や説明方法
  3. 局所麻酔(浸潤麻酔・伝達麻酔)の実践、腰椎麻酔や全身麻酔の適応
  4. 切除、摘出、単純縫縮、切開の手技
  5. 皮弁作製術及び植皮術の適応、デザインと手技
  6. リンパ節郭清の適応と意義
  7. 化学療法・全身的免疫療法の適応と理解
  8. 手術記録の記載
  9. 腫瘍切除後の経過観察、画像診断や腫瘍マーカーによる全身検索


5.代表的皮膚疾患の診断、治療、生活指導

  1. 湿疹・皮膚炎群 接触皮膚炎、アトピー性皮膚炎、掻破性湿疹、乾燥性湿疹、汗疹性湿疹、自家感作性皮膚炎
  2. 蕁麻疹、皮膚・痒症
  3. 紅斑症など 多形滲出性紅斑、中毒疹、薬疹、薬剤過敏症候群、スティーブンス・ジョンソン症候群、ベーチェット病
  4. 水疱症 水疱性類天疱瘡、尋常性天疱瘡
  5. 角化症 尋常性乾癬、掌蹠膿疱症、尋常性魚鱗癬、扁平苔癬
  6. 色素異常症 尋常性白斑、老人性色素斑、薬剤による白斑黒皮症
  7. 膠原病とその類症 エリテマトーデス、強皮症、皮膚筋炎、シェーグレン症候群
  8. 皮膚付属器疾患 多汗症、腋臭症、尋常性・瘡、円形脱毛症、男性型脱毛症、嵌入爪
  9. 母斑・母斑症・皮膚良性腫瘍 脂漏性角化症、扁平母斑、色素性母斑、青色母斑、血管腫、結節性硬化症、レックリングハウゼン病、粉瘤、脂肪腫、糸状線維腫、ケロイド
  10. 皮膚悪性腫瘍 日光角化症、ボーエン病、基底細胞癌、有棘細胞癌、悪性黒色腫、乳房外パジェット病、血管肉腫、菌状息肉症、セザリー症候群、成人型T細胞白血病、転移性皮膚腫瘍
  11. 細菌性皮膚疾患 伝染性膿痂疹、丹毒、蜂窩織炎、せつ、ブドウ球菌性熱傷様皮膚症候群
  12. 皮膚真菌症 白癬症、カンジダ症、癜風、スポロトリコーシス
  13. ウイルス感染症 単純疱疹、水痘、帯状疱疹、ウイルス性疣贅、伝染性軟属腫、伝染性紅斑
  14. 原虫・動物性皮膚疾患 リケッチア感染症、昆虫やムカデ・クラゲによる皮膚疾患
  15. 性感染症 梅毒
  16. 物理的皮膚疾患 熱傷、褥瘡